猫に寄生するダニの種類とは?引き起こされる症状やダニ対策におすすめの商品も紹介

猫の身体や耳に寄生するダニは、愛猫の健康を脅かす危険な存在です。しかし、猫を室内飼いしている場合、ダニ対策を意識して行っていない方も多いのではないでしょうか。ダニは室内にも潜んでいたり、飼い主や他のペットが屋外から持ち込んだりする可能性もあるため、室内飼いだとしても対策は必要です。

本記事では、猫に寄生するダニの種類や引き起こされる症状、ダニ対策におすすめの商品などについて詳しく解説します。愛猫をダニから守るために、きちんとした知識を身につけましょう。

猫に寄生する主なダニの種類

マダニ

マダニは、猫に寄生する代表的なダニの一種で、世界で800種類以上が存在しています。日本には47種類のマダニが生息しているとされ、体長は3~8mmほどです。吸血後は1~2cmの大きさになるため、肉眼で確認することができます。

マダニは草むらなどに多く生息し、人間や動物がその前を通った際に付着しており、猫に付着するとセメント物質を分泌することによって離れないよう固定します。この状態になったマダニは駆除が難しくなり、皮膚科の受診が必要なケースもあるため注意が必要です。

ツメダニ

ツメダニは何種類か存在しますが、猫を飼っている方が特に注意したいのはネコツメダニです。体長は約0.5mmと小さく、頭部に大きなかぎ爪があります。ネコツメダニは猫の皮膚に寄生して産卵することで増殖し、大量のフケや軽いかゆみを伴う「ツメダニ症」と呼ばれる皮膚疾患を引き起こすため注意が必要です。

また、ツメダニは人間を噛むこともあり、発疹やかゆみにくわえて痛みも伴います。飼い主にとっても有害なダニなので、しっかりと対策することが重要です。

ミミヒゼンダニ

ミミヒゼンダニは、猫の外耳道に寄生するダニです。このダニに寄生されると、耳疥癬(みみかいせん)と呼ばれる病気に感染し、黒い耳垢や異臭、強いかゆみなどの症状が発生します。ミミヒゼンダニは、野良猫との接触や母猫から子猫に移ってしまうことが原因で寄生されるケースも多いです​。

ミミヒゼンダニに寄生された猫は、しきりに耳をかいたり、頭を振ったりすることが多くなります。放置すると症状が深刻化するため、早期に治療を開始することが重要です。

ヒゼンダニ

ヒゼンダニは体長約400μmの非常に小さなダニで、皮膚に穴を掘ったり毛包内に隠れたりして寄生します。そのため、発見が非常に難しいダニの一種です。ヒゼンダニは皮膚疥癬症(ひふかいせんしょう)を引き起こす原因になり、感染すると皮膚炎や強いかゆみを伴います。

また、ヒゼンダニは繁殖能力が高く、多頭飼いの家庭では一気に広がってしまうおそれがあるため警戒が必要です。

猫に寄生したダニが引き起こす症状

ライム症

ライム症は、マダニが媒介するボレリアという細菌によって引き起こされる感染症です。猫はライム症に感染しても重症化するリスクは低いといわれていますが、人間も感染する場合があります。人間がライム症に感染すると、発熱・悪寒・筋肉痛・頭痛・関節痛・倦怠感など、インフルエンザに似た症状がみられるため注意が必要です。

なお、国内ではライム症のワクチンがまだ使用できません。そのため、マダニの活動が活発になる春から秋にかけては、マダニが多く生息している藪などに立ち入らないようにしましょう。

猫ヘモプラズマ感染症

猫ヘモプラズマ感染症は、ヘモプラズマという細菌が赤血球に寄生し、赤血球を破壊することで貧血などを引き起こす病気です。猫伝染性貧血とも呼ばれ、ダニやノミの咬傷(こうしょう:かみ傷)などによって感染します。

猫ヘモプラズマ感染症は、発熱や食欲不振、脱水症状なども引き起こします。さらに、貧血が進んで脾臓(ひぞう)が腫れることもあり、重症化すると命に関わることもある病気です。予防薬やワクチンはまだ開発されていないため、ダニやノミの対策が非常に重要となります。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは、マダニが媒介するSFTSウイルスによって引き起こされる感染症です。渡航歴のない方が感染した事例もあり、猫だけでなく人間や犬も感染する可能性があります。

SFTSに感染した場合、発熱や嘔吐、下痢や倦怠感などの症状が発生します。また、現状は特効薬やワクチンが存在しないため、対症療法が唯一の予防手段です。猫が感染しても軽症で終わることが多い傾向にありますが、人間の致死率が高い病気なため注意しましょう。

猫にダニが寄生する原因

散歩中に寄生する

猫が屋外に出ると、草むらや庭などでダニに寄生されるリスクが高まります。ダニは草や低木の葉などに潜んでおり、猫がその前を通過する際に付着します。外出後は耳の周りや身体を念入りに確認し、早期に発見して対処することが重要です​​。

短時間であっても、猫が屋外に出る場合はダニに寄生されるリスクがあることを理解しておきましょう。

室内で寄生する

室内飼いの猫も、ダニに寄生されることがあります。室内は温度や湿度が一定に保たれており、ダニが繁殖しやすい環境です。家の中にはダニの食料になる髪の毛やフケなどが落ちていることも多いため、ダニが繁殖しないよう部屋を清潔に保っておく必要があります。

また、ダニは湿度が高い場所も好むため、定期的に換気して湿度をコントロールすることが重要です。室内飼いの猫だとしても、ダニが寄生する可能性はあるため注意しましょう。

人や犬が持ち込んだダニが寄生する

人間や犬から、猫にダニが移ってしまう場合もあります。屋外でダニが飼い主や犬の身体に付着し、そのまま室内に持ち込んでしまう場合があるのです。

犬も飼っている場合は、ダニが潜んでいる草むらなどに近づかないよう散歩ルートを検討する必要があります。家に帰ってきたら、ダニを持ち込んでいないかしっかりチェックするようにしましょう。

猫をダニから守るための対策

こまめにブラッシングを行う

猫をダニから守るためには、定期的なブラッシングが欠かせません。小さなダニは発見が困難なこともありますが、マダニなどの大きなダニはブラッシングで駆除できる場合があります。特に、屋外に出た場合や長毛種の猫は、こまめにブラッシングを行うようにしましょう。

また、ブラッシングを行うことで猫の健康状態をチェックできるため、病気の早期発見につながります。描種に合ったブラシを選び、ブラシ自体も清潔に保つことが大切です​。

予防薬の投与

ダニの寄生を予防するためには、予防薬の投与が非常に効果的です。スポットオンタイプの薬剤は、猫の首元に垂らすだけで簡単に使用でき、数か月間効果が持続します。錠剤やおやつタイプの薬もあり、これらはダニだけでなくノミやフィラリアなど他の寄生虫に対しても効果があります。

予防薬の使用は季節を問わず、定期的に行うことが推奨されています。特に、ダニが活発になる春から秋にかけては投与が欠かせないため、病院で適切な薬を処方してもらいましょう。

ダニを見つけた場合は医師に相談する

猫にマダニが寄生しているのを発見したら、速やかに医師に相談してください。もし、マダニが寄生しているのを発見したとしても、無理に駆除しようとしてはいけません。手で潰したり引っ張ったりすると、マダニが食いついている部分が残ってしまい、皮膚炎を引き起こすおそれがあるためです。

ダニ対策はしっかりと行う必要がありますが、適切な対応を医師に確認するようにしましょう。

猫のダニ対策におすすめの商品3選

薬用アース「ノミ・マダニとり&蚊よけ首輪」

薬用アース「ノミ・マダニとり&蚊よけ首輪」は、猫の首につけることでダニやノミを駆除し、蚊も寄せつけないようにするための首輪です。装着して約1週間で効果があらわれ、約6か月間持続します。また、窒息事故を防ぐためのスリットが入っており、安全性にも配慮された商品となっています。

ペティオ「NEW ノミダニ取りスプレー 猫用」

ペティオ「NEW ノミダニ取りスプレー 猫用」は、ダニが発生しそうな場所に吹きつけることでダニやノミを駆除できるスプレーです。猫の身体だけでなく、猫が好んでいる場所や寝床などにも使えるため、猫の生活環境をトータルケアすることができます。エアゾールタイプのスプレーなのでムラなく吹きつけることができ、効果は1か月程度持続します。

ペットキレイ「ノミ・マダニとり リンスインシャンプー 犬猫 グリーンフローラル(550ml)」

ペットキレイ「ノミ・マダニとり リンスインシャンプー 犬猫 グリーンフローラル(550ml)」は、薬用成分「フェノトリン」のはたらきによってダニやノミを駆除できるシャンプーです。洗浄成分の100%が植物由来で、肌に優しい低刺激な商品となっています。シャンプー前にしっかりブラッシングを行い、毛並みに沿ってマッサージするように洗ってください。

ただし、ダニ対策のために必要以上にシャンプーをすることは避けましょう。必要な皮脂まで除去してしまうことで、皮膚炎の原因になることがあります。用法・用量を守り、適切に使用することが重要です。

猫と飼い主の安全を守るためにダニ対策を徹底しよう

今回は、猫に寄生するダニの種類や引き起こされる症状、ダニ対策におすすめの商品などを紹介しました。ダニが猫の耳や身体に寄生すると、さまざまな感染症を引き起こすおそれがあります。また、人間が感染すると重症化するリスクもあるため、定期的なダニ対策は非常に重要です。ぜひ本記事を参考にしながら、愛猫と飼い主が安心して暮らせる環境づくりを行ってください。

こちらの記事は自己診断を促すものではありません。猫ちゃんに異常が見られる場合は早めに獣医師にご相談ください。