これから猫をお迎えしたいと考えている方や、既に猫を飼っている方のなかには、猫の保護活動に関心を持っている方も多いのではないでしょうか。猫の保護活動は行政機関や民間団体によって行われており、1匹でも多くの猫を救うためにさまざまな取り組みが実施されています。しかし、具体的にどんな活動をしているのかはよく知らない方もいるでしょう。
今回の記事では、猫の保護団体が日々どんな活動を行っているのか詳しく解説します。また、猫の保護活動を支援する方法についても紹介しているため、ぜひ自分のできることから実践してみてください。
目次
猫の保護活動が必要な理由
保護猫のなかには、飼い主が見つからなかったり、病気に感染してしまったりしたことで行き場がなくなる猫が数多くいます。そして、譲渡することができなかった猫は最終的に殺処分されてしまう悲しい結果をもたらすこともあります。
環境省の統計によると、令和4年度に全国で殺処分された猫は9,472匹。約1万匹もの猫が、さまざまな事情によって命を失う結果になっています。殺処分数は年々減ってはいますが、それでも殺処分ゼロには至っていません。さらに、殺処分された猫のうち、まだ幼い子猫は5,878匹にのぼります。
このように、悲しい思いをする猫を1匹でも減らすために、行政や民間のさまざまな団体が猫の保護活動に取り組んでいるのです。
猫の保護団体が行っている主な活動内容

保護活動
猫の保護団体の最も重要な役割は、困っている猫たちを保護することです。住民から野良猫の通報を受けた猫や、飼い主が飼えなくなってしまった猫など、行き場のない猫を保護しています。
保護された猫は、行政や民間団体が運営している施設(保護シェルター)などで預かります。食事を与えるのはもちろん、ワクチン接種や不妊・去勢手術などを行うこともあり、猫が健康的に生活できるようにサポートしているのです。
飼い主が猫を飼えなくなってしまう理由は、飼い主の高齢化や病気のほか、無計画な妊娠・出産によって猫が増えすぎてしまった場合などさまざま。猫をお迎えするなら、自分がどのような状況になったとしても猫を生涯幸せにする覚悟が必要です。悲しい思いをする猫を増やさないためにも、飼い主は終生飼育の意識をしっかり持ちましょう。
譲渡活動
保護団体によっては、保護猫をそのまま生涯にわたってお世話することもあります。しかし、民間の保護団体は法律によって猫を保護・飼育できる頭数が限られているのです。そのため、保護団体は猫の新しい飼い主を見つけるために譲渡活動を行っています。
具体的には、保護団体主催の譲渡会を開いたり、保護猫カフェを運営したりすることで、保護猫をお迎えしたい方と触れ合える機会をつくっています。猫の飼育に関するアドバイスや相談なども受けているため、保護猫をお迎えしたいと考えている方はぜひ足を運んでみてくださいね。
TNR活動
TNR活動とは「Trap(つかまえる)・Neuter(不妊手術をする)・Return(元の場所に戻す)」の略で、不幸な猫を増やさないために行う取り組みのことです。猫は一度に約5匹の子猫を産み、1年に2~3回出産するといわれています。また、猫は生後半年から出産できるため、1年後には1匹の猫から50~70匹まで増える可能性があるのです。
先程もお伝えしたとおり、殺処分されている猫の大半は幼い子猫です。生まれてすぐに殺されてしまう悲しい猫を1匹でも減らすために、保護団体はTNR活動を行っています。
地域猫活動とは
TNR活動によって不妊手術を終えた猫は、それまで生活していた地域に戻します。なぜそのまま保護し続けないのかと考える方もいるかもしれませんが、すべての猫を保護団体で受け入れることはできませんし、お世話できる人もいません。また、野良猫は人間への警戒心が強いため、無理に人間がお世話しようとするとストレスで病気になってしまうこともあるのです。
そのため、健康な猫を元いた地域に戻し、地域のみんなで猫を可愛がる=地域猫活動を進めています。飼い主のいない猫たちが、地域のなかで少しでも快適に長生きできるように、保護団体は日々活動を行っているのです。
なぜ保護した猫の耳をカットするの?

耳の先端がV字にカットされた猫を見たことがある方もいるのではないでしょうか。この耳カットは、不妊手術を受けた猫であることの目印です。目印がないと、不妊手術を受けた猫かどうか見分けがつかず、また猫に手術の負担をかけてしまうことになりかねません。
また、首輪やピアスでは取れてしまう可能性があるため、手術で麻酔をかけているときに耳カットを行うのです。V字にカットされた耳が桜の花びらのように見えることから、この目印がある猫は「さくら猫」と呼ばれています。
猫の保護活動を支援する方法
保護団体の求人に応募する
猫の保護活動に直接関わりたい方は、保護団体の求人に応募してみてはいかがでしょうか。仕事として猫の保護活動に携わることで、日々の業務を通じて猫たちの命を救うサポートができます。動物愛護に関心がある方なら、保護団体での仕事はやりがいを感じられるはず。正社員だけでなくアルバイトを募集していることもあるので、地域の保護団体の公式サイトなどで募集がないかチェックしてみてくださいね。
ボランティアとして参加する
猫の保護活動に関わりたいなら、ボランティアとして参加するのもおすすめです。多くの保護団体では人手が不足しており、活動が制限されています。そのため、ひとりでも多くの方がボランティアとして参加すれば、救える猫の数も増えていくでしょう。保護活動のボランティアとしては、主に以下のような内容があります。
- 保護シェルターの飼育スタッフ
- 保護猫の預かり
- 保護猫や物資の運搬
- ホームページやチラシ製作
- SNSの更新
忙しい方でも、ボランティアなら週末だけ参加するなど、無理のない範囲で関われることが多いです。自分のペースで猫の保護活動に参加できるので、ボランティアの募集があるか確認してみましょう。
寄付を行う
保護団体で働いたり、ボランティアに参加したりするのは難しいけれど、保護活動の支援を行いたいという方は寄付をするという方法もあります。猫の保護活動にはフード代や医療費など多くの資金が必要です。資金があれば救える猫の命も増え、殺処分ゼロに近づくことができるかもしれません。
近年は寄付の方法も増えており、保護団体のホームページだけでなく、ふるさと納税やクラウドファンディングによって寄付できることもあります。継続して寄付を行うことが保護活動の大きなサポートになるので、まずは小額からでも寄付を行ってみてはいかがでしょうか。
お金だけでなくキャットフードやトイレ用品など、物資の寄付も喜ばれることが多いです。保護団体が製作しているグッズの購入なども保護活動の費用にあてられるため、自分のできることから始めてみましょう。
自分のできる範囲で猫の保護活動に参加してみよう
今回は、猫の保護団体がどんな活動をしているのか、活動内容や支援方法について紹介しました。保護団体が中心となって猫の保護活動を続けているため、殺処分される猫の数は徐々に少なくなっています。しかし、不幸な猫を減らすためには、まだまだ人手や資金が不足しているのが現実です。
猫の保護活動に少しでも興味がある方は、ぜひスタッフやボランティアとして参加することを検討してみましょう。資金や物資の寄付も猫の命を救うことにつながるので、自分のできる範囲で保護活動に参加してみてくださいね。
猫に関する豊富な知識と深い愛情を持つ管理人が、自ら三匹の猫を飼育する経験をもとに、猫専門コミュニティサイト「ネコメタルシティ」を立ち上げました。運営スタッフの多くも、現在猫を飼育している、または長年にわたる飼育経験を有しており、実体験に基づいた信頼性の高い情報を提供しています。サイトでは、猫との豊かな暮らしをサポートするエンタメコンテンツや実用的なライフスタイル情報を厳選して発信しています。