猫の熱中症に注意!症状や飼い主が知っておくべき対策について解説

地球温暖化などの影響によって日本の夏は年々気温が高くなっており、熱中症対策は非常に重要です。そして、熱中症は人間だけでなく、猫も発症するおそれがあります。2021年には環境省が初めてペットの熱中症について注意喚起を行っています。そのため、飼い主はあらためて猫の熱中症対策に関する正しい知識を身につけることが必要です。

本記事では、猫の熱中症に関する基礎知識や症状、対策や応急処置などについて詳しく解説します。愛猫が健康に夏を過ごせるように、熱中症対策をしっかり行っていきましょう。

猫の熱中症とは

猫も人間と同じように、暑さによって熱中症にかかる危険性があります。猫は比較的暑さに強い動物といわれており、暑くなると涼しい場所を探して移動するため、熱中症にかかりにくいと考える方もいるかもしれません。

しかし、猫は人間よりも汗腺が少なく、人間のように汗をかくことで体温調整をするのが難しい生き物です。また、猫は犬のように舌を出して口呼吸することで体温を下げることも少ないため、自分で体温調整をするのが苦手といえます。

そのため、猫がエアコンのついていない室内や車の中、押し入れなどに入って出られなくなった場合、熱中症にかかるリスクが高まります。猫は狭い場所を好む傾向にありますが、温度が高い密閉された空間は非常に危険なことを把握しておきましょう。

猫の熱中症の症状

軽度の場合

猫は基本的に鼻呼吸をしていますが、口を大きく開けて呼吸している場合は熱中症のサインかもしれません。猫が口を開けて呼吸するのは稀であり、高体温や呼吸機能の悪化など、体に異常が発生していることを表します。また、よだれを垂らす、食欲が低下するのも熱中症の症状のひとつです。

これらの症状が出ていたら、まずは猫の体温を測りましょう。猫の平熱は肛門で測定した場合は38℃ですが、39℃を超えていた場合は熱中症の可能性が高いです。体温が高くなっている場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

中度の場合

猫の熱中症がさらに悪化した場合、食欲不振などにくわえて以下のような症状が出るおそれがあります。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 足元のふらつき
  • ぐったりしている
  • 体の震え
  • 体温が40℃まで上昇

猫の高熱が続くと、脳神経にもダメージが及ぶため運動機能に支障が出ます。また、脱水症状も引き起こしている場合、嘔吐や下痢によってさらに症状が深刻化するため、非常に危険です。

重度の場合

猫の熱中症が重症化した場合、体のけいれんや意識の混濁など、非常に深刻な症状が発生します。臓器にも障害が発生している場合があるため、直ちに動物病院を受診しなければなりません。

また、猫が高熱を出すと、歯茎や舌が紫色に変色する「チアノーゼ」という症状が出る場合もあります。これは、血中の酸素供給が低下して起こる症状であり、熱中症が重症化しているサインです。

猫が熱中症にかかっていることに気づくためにも、日頃から猫の様子をしっかり観察する必要があります。少しの変化にもいち早く気づくことができるよう、猫の様子は逐一チェックするようにしましょう。

猫の熱中症対策で知っておくべきポイント

エアコンを使って室温を一定に保つ

猫にとって快適な室温は猫種や月齢によって異なりますが、26~28℃程度といわれています。そのため、気温が30℃を超えるような場合は、エアコンを使って室温を一定に保つことが重要です。

また、熱中症対策には湿度管理も重要で、適切な湿度は50~60%とされています。湿度が高い場合はエアコンのドライ機能や除湿器などを使用して調整するようにしましょう。

なお、エアコンのリモコンをテーブルなどの上に置きっぱなしにしていると、猫が踏んで電源を切ってしまうおそれがあります。猫が留守番中にエアコンが切れたら危険なため、リモコンは猫の手が届かない場所に置くことを徹底してください。

水飲み場を複数設置しておく

家庭で飼われている猫の祖先は、砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコとされているため、猫はあまり多くの水分を必要としません。しかし、ある程度の水分量は必要であり、水分不足は熱中症の原因につながってしまいます。

そのため、猫がしっかり水分補給をするように、水飲み場は複数設置することをおすすめします。また、猫は水飲み器が気に入らないと水を飲まない場合があるため、どの水飲み器が最も水を飲んでくれるのか知ることも大切です。水は毎日取り替えて、新鮮な水を飲めるようにしてあげましょう。

ブラッシングで不要な被毛を除去

定期的にブラッシングを行って、不要な被毛を除去することで、猫の体に熱がこもるのを防ぐことができます。特に長毛種の猫を飼っている場合は、日頃のブラッシングが重要です。また、ブラッシングを行うことで猫の健康状態もチェックできます。猫とコミュニケーションをとるためにも、定期的に行うようにしましょう。

扇風機を使って空気を循環させる

冷たい空気は下に、暖かい空気は上に流れるため、室温が一定になるように扇風機で循環させましょう。ただし、猫に扇風機の風が直接当たらないよう注意が必要です。猫は汗をかかないため、扇風機の風に当たっても涼しく感じないと考えられており、逆に体調を崩す原因になります。

また、扇風機が転倒すると、猫が怪我をしてしまうおそれがあります。転倒防止の対策をしたり、羽がない扇風機を使用したりするなど、危険がないように工夫しましょう。

暑さ対策グッズを活用

猫の熱中症を防ぐには、暑さ対策グッズを活用するのが効果的です。エアコンだけでなく、猫が自分で体温調整しやすいようにグッズを用意しておけば、熱中症にかかるリスクを抑えることができます。

接触冷感素材や大理石を使用したマットや、保冷剤で温度を下げられるペットハウスなど、さまざまな熱中症対策の商品が販売されています。猫の特徴や好みに合わせて、気に入ってくれるものを探してみてください。

猫が熱中症になってしまった場合の応急処置

保冷剤や濡れたタオルで体温を下げる

猫の熱中症の症状が出ている場合、すぐに涼しい場所に移動させましょう。そして、タオルなどで包んだ保冷剤を、太い血管が通っている首筋や脇などに当てて冷やします。また、濡れたタオルで体をくるんであげるのも効果的です。

ただし、猫の体温が下がりすぎると危ないため、体温を測りながら慎重に行うことが重要です。猫の平熱は38℃程度ですが、39℃以下になる前に応急処置を終えて、動物病院を受診しましょう。

水分補給をさせる

猫が熱中症になっている場合、少しずつ水を飲ませてあげましょう。この時、一気に飲ませてしまうと水が気管に入ってしまう危険があるため注意が必要です。食欲があれば、ウエットフードを与えて水分補給させるのも効果的といえます。

なお、自分で水を飲むことができない状態まで弱っている場合は、布やコットンに水を含ませて舌を濡らす程度にします。その後は、できるだけ早く動物病院に連れて行くことが重要です。

猫の熱中症対策におすすめのグッズ

石専門店「ペット用大理石ひんやりボード」

石専門店「ペット用大理石ひんやりボード」は、100%天然の大理石を使用した冷感ボードです。天然素材なので自然な冷たさを感じることができ、非常に高級感があります。電気代も必要ないため、家計にも優しい商品です。

また、大理石ボードは耐久性が高く、汚れも拭き取りやすいため、手入れも簡単な点が魅力といえるでしょう。

アイリスオーヤマ「モチーフペットベッド」

アイリスオーヤマ「モチーフペットベッド」は、通気性に優れたメッシュ素材を使用している猫用ベッドです。15種類ものラインナップがあり、猫の好みに合わせてデザインを選ぶことができます。クッションは手洗い可能となっているため、清潔に保つことが可能です。

見た目も可愛らしい熱中症対策グッズを探している方は、こちらのベッドを検討してみてはいかがでしょうか。

冷却ジェルマット

冷却ジェルマットは、ひんやりと気持ちの良い冷却ジェルとスポンジが入ったマットです。猫に無害な成分のジェルを使用しており、マットが破れないようにカバー付きのタイプも販売されています。

また、接触冷感生地とリネン生地を裏表で使い分けられる仕様になっているため、その日の気温や猫の体調に合わせて冷えすぎを防ぐことが可能です。お出かけ用のキャリーや冬用ベッドに敷いて使うこともできるため、折りたたんでコンパクトに収納できる便利な商品となっています。

猫の熱中症を防ぐために日頃から万全の対策を

今回は、猫の熱中症に関する基礎知識や症状、飼い主が知っておくべき対策や応急処置について解説しました。猫の熱中症は気づかないうちに進行していることが多い病気であり、重症化すると命に関わる危険性もあります。日頃から猫の様子や水を飲む量などを観察し、問題ないかチェックすることが重要です。猫の熱中症対策を万全にして、暑い夏も快適に過ごせるようにしてあげましょう。

こちらの記事は自己診断を促すものではありません。猫ちゃんに異常が見られる場合は早めに獣医師にご相談ください。